お元気ですか、MrBachLoverです。ピアノ弾きの皆様の中にはレッスンに通っている方もおられると思います。同じレッスン代をお支払いするなら少しでもレッスン効率上げたいものです。そこで提唱するのがピアノ本の活用です。今回ご紹介するのは土田定克さんの著した「ラフマニノフを弾け」です
ベートヴェンじゃだめなの???
悪くはないと思うけど…、まあ、この記事の続きを読んでみると分かるよ
なんで「6.6倍」なのか???、については次の記事をご覧ください
「ラフマニノフを弾け」の概要
題名;ラフマニノフを弾け
著者;土田 定克。1975年、東京生まれ。2000年、モスクワ音楽院を最優秀の成績で卒業。2002年、同大学院を卒業。同年(2002年)に行われた第3回ラフマニノフ国際ピアノコンクールにおいて第一位を受賞。
ラフマニノフを弾け。これは著者の土田 定克さんの恩師メルジャノフ先生の人生を変えた一言。メルジャノフ先生は兵役で4年半もピアノに触れていなかったのに、大コンクールまでの時間が3カ月半しか残されていなかったそうです。その時、彼の師フェインベルクさんは、彼に「出来る限り多くラフマニノフを弾け。そしたら調子を取り戻すだろう。」と言い放ったのです
この一言に勇気づけられたメルジャノフ先生は、3ヶ月半ピアノに向かい、名高い全ソ連音楽コンクールで第一位を受賞したのです
本書の概要
なぜメルジャノフ先生の師フェインベルクさんが「ラフマニノフを弾け」と言ったのか。それはラフマニノフの音楽がハッハ、ベートーヴェン、モーツァルト…、すべての集大成だからなのですが、そのあたりの話は本書をじっくり読んていただければと思います
もうちょっとだけ書くと…
本書は、
- 前半は、著者さんの学生時代からラフマニノフ国際コンクール1等賞までの道程をユーモアを交えながら書かれていて、
- 後半は、ラフマニノフの音楽の解釈、および、ピアノのテクニックの話
です。ラフマニノフが書き残した文章が何箇所か出てきて、とても興味深いです
また、ラフマニノフの楽曲の解釈も書かれていますからラフマニノフに取り組む方は必読書と言っても過言ではないと思います
ピアノのテクニックの話
本書には、
- 重量奏法
- ペダリング
- 奏法としてのスタッカート
- 運指法
- 歌の奏法
- フレージング
などが出てきます。先程読み返してみましたが、ウンウン、ってうなずくこと100回(!?)って感じでした。冗談はさておき、
例えば「奏法としてのスタッカート」。
ピアノを弾く指の動きは、備鍵、打鍵、置鍵、離鍵ですが、この内、置鍵をなくして打鍵と離鍵を同時に行うとスタッカートになります。高速パッセージではスタッカートは特に有効です。高速パッセージでは残響を考慮するとスタッカートではなくスラーに聞こえます。更に、強弱緩急の塩梅によって音楽的な表情つけることでスラーを実現するのです
といった具合に、本当に鋭い考察が散りばめられている本なのです
ただ、文章から汲み取れる情報量は読み手によって大きな差が出てくるものと思われます。また、実際にピアノを弾いてみて、あー、そういうことか、と気がつく内容がたくさんあるんじゃないかなって思います
つまり、ストレートに云うと言葉で伝えられることは限られているのです
それと同時に、1を聴いて10を知る人もきっとおられると思います。そして、日々のピアノの練習で、
あ、そういうことか。
みたいな発見で価値を増す。
本当に素晴らしい本だと思います
結び:脈々と受け継がれるもの
本書に出てくるいくつかの教えは、わたくしがsalonの先生やschoolの先生に教わった事柄と一致していたりします
そんな発見があった時、ロシア・ピアニズムは脈々と受け継がれ、わたくしのところに流れてきている、ということを実感するのです
その一方で、モスクワ音楽院に留学しなくても出来ること、学べることはたくさんある、とも感じました
この記事を読まれているピアノ弾きの読者さんにも、ぜひ一度手にとって読んで頂きたい、心から推薦する1冊です
ではでは〜
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