お元気ですか、MrBachLoverです。リーマンピアニストの皆さん、ショパコン楽しんでいますか。とうとう日本のメーカーのカワイとヤマハを弾く日本人コンテスタントはいなくなってしまった訳ですが、今朝ほど牛田さんのショパコン落選後のツイッターのコメントを読んだので、その感想を記します
コンクールは結果が全てでしょ。スタインウェイ弾けばよかったんじゃね???
あれれ、そんなこと言うかい??? 結果は全てでは無いよ。過程だって大事だし、日本人なら誰だってきっとヤマハを使うことに大きな共感を覚えるだろうし。でも、ホールの響きが牛田さんにどう聞こえるのか、ってのはポイントも知れないね
牛田智大さんのショパコン落選後のコメント
もう読まれた方もいるかと思いますが、牛田智大さんのショパンコンクール落選後のツィッターのコメントをネットで見つけましたので次に掲載させていただきます
今回はなかなかホールの音響がつかめず、最大音量を見極められないままラウンドを終えてしまい、ダイナミクスの構成や音色の調整が狂ってしまいました。ホールの音響上自分の音量が足りていないのではと錯覚してしまい、不自然な力で芸術的でない飽和した響きを引き出してしまった瞬間がありました。
また、響かないホールで無理やり音量を出すために、バスや最も重要な音を少し遅らせることで倍音の効果でピアノが鳴っているように聞こえさせることができるのですが、これをホールの音響を探るうちに無意識に多用してしまっていたようです。(左右のズレは20世紀の典型的なテクニックではありますが現代ではあまりふさわしいとはいえません。もちろんポリフォニックな部分や旋律がレチタティーヴォ的になっている部分では声部ごとのイントネーションの違いから必然的なズレが生じるのは自然な範囲内であれば許容されるべきだとは思いますが)
計算違いが重なり想定していたものとはかなり違った音楽を提示する形になってしまいましたが、自分にとっては準備の過程のなかで作品についての勉強をたくさんさせていただけたことが、かけがえのない経験と財産となりました。https://twitter.com/TomoharuUshida
すこし要約すると、
- 最大音量を見極められず、ダイナミクスや音色の調整が狂ってしまった
- 響かないホールと感じたため、自分の音量が足りていないのでは無いかと錯覚した
- 音を響かせるため、バスを遅らるテクニックなどを多用してしまった
- 計算違いが重なって、良くない結果となった
- 準備の過程でたくさん勉強出来たことは、かけがえのない財産となった
いやー、素晴らしいコメントです♥
人となりが伝わってきますね
ホールの形と観客の有無
わたくしは大学生の時代に学生オケでベースを弾いていたのですが、大学4回生の時に学生オケの海外演奏旅行があり、アムステルダム・コンセルトヘボウのホールで演奏したことがあります
このコンセルトヘボウのホールは長方形をしており、音響の特性が今どきのホールとは響きが違うんですよね〜。そして、コンセルトヘボウのホールはショパコンの会場に似ているように見受けられます
当時の学生オケ時代を振り返った記事はコチラ
ホール独特の響きというものがきっとあるのだと思います。そして、牛田さんはショパコンの会場の響きになかなかアジャスト出来なかったのかも知れません
また、観客の有無もホールの響きに影響を与えます
ホールは観客が入って程よく音を吸収してくれた時に最大のパフォーマンスが出るように設計されているのです
ですが、最近の演奏会は無観客での演奏が多かったせいでしょうか、ひょっとして牛田さんはホールの音響が必要以上に良い無観客の状況に慣れてしまっていたのかも知れません
ですから、牛田さんは今回のショパコン二次の会場で沢山の観客が入った状態でホールの音を聴いたときに、
あれれ、音があまり響いて無いんじゃね???
って思っちゃったのかも知れません
ヤマハのフルコンサートグランドの性能が良すぎた???
つい1カ月ほど前に、わたくしはヤマハのフルコンサート・グランドピアノCFIIIをホールで弾く練習会に参加してきました。その時に感じたのは、
あれれ、ヤマハ フルコンCFIIIって、どこまでもデカイ音が鳴るんじゃね???
ってことです。ヤマハのフルコンって、チカラがあればあるほど大きな音が出るのかも。ダイナミックレンジがとても広いのです
つまり、
- ホールの響きを捉えきれなかった、かつ、
- ピアノの音量を出す性能は底抜け
ということで、ピアノをコントロールするのがとても大変だったのかも知れません
よく響くホールで遅らせるべきはバスでは無くメロディーと高音部
きっとショパコンのホールは牛田さんご本人が思っている以上によく響くホールだったのだと思います
そして、よく響くホールでは、バスの音が行き届くのに少し時間がかかるんです
学生オケ時代、プロの客演指揮者の先生に教わったのは、
「バスはバイオリンよりほんの瞬間速く音を発音しなければならない」
の原則。もちろん、響きの作り方として、この逆を行うシーンもありますけど。
バスの音は高音部の音より客席に到達するまでに時間がかかるんです。そして、バスが少し耳に届き始めてからメロディーや高音部が耳に入ったほうが、心地よく聞こえるのです
この辺りのことは、オケ経験者でないときっとご存知無いかと思います
ピアノ弾きは、時々、この逆をやりますが、
わたくしは、そういう演奏を聞くと言葉にできない違和感を覚えます
結び:コンクールは結果が全てでは無いですよね〜
コンクールなんて所詮、審査員長のお弟子さんが金賞とかグランプリとか受賞しちゃったりする訳で、必ずしも聴衆に一番支持された人が最優秀に選ばれるとは限らないのだと思います
それは、今夏の予備予選でよーく判っています
黒木雪音さん、山縣美季さん落選の結果を知って、よーく分かりました
コンクールの結果は審査員との相性が大きく影響するのです
だけど、取り組んだ過程で学んだことは、揺るぎない財産になります
だから、コンクールの結果は半ば
くじ引き、
程度に考えて、
- 取り組む過程に注力すること、及び、
- 本番でベストな演奏をすること
この2点を大事にして取り組めばよいのだと思います
追記:ブルース・リウさんの記事を追加しました。よろしければ。
ではでは〜
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