(もう1つの)ショパンコンクール 〜ファイナルの演奏聴き比べ

ピアノ

お元気ですか、MrBachLoverです。リーマンピアニストの皆様、ショパンコンクール楽しんでいますでしょうか。わたくしは、昨晩もファツィオリの音やシゲルカワイの音で奏でられるショパンピアノ協奏曲の演奏をYouTubeで楽しんでおりました

お待たせしました、今回は、コンクールファイナルで使用されているスタインウェイ、ファツィオリ、シゲルカワイの音の聴き比べのレポートです

レモンちゃん
レモンちゃん

ズバリ、今回のポイントはオケの音との相性でしょ?

わたくし
わたくし

そう。オケと音が調和するのか、オケに乗ってしっかり主張するのか、などいろいろな聞き所があるよ、

選択されたピアノの台数

今回、ファイナリストは12人います。そして 、選択されたピアノの種類と台数は、

スタインウェイ479 … 6人
ファツィオリ … 3人
シゲルカワイ … 3人

なんと、カワイが3人! これは快挙かも!?

Fazioli F278(ファツィオリ F278)

ショパンピアノ協奏曲第一番を弾くレオノーラ・アルメリーニ(LEONORA ARMELLINI)さんの演奏を聴いてみました。シゲルカワイやスタインウェイの音より柔らかい音が出るな〜って思って聴いていたのですが、

ん?

時にとても鋭いタッチの音も出る。

ほう。これは…

タッチでいろんな表情が出せていますね。もちろん、シゲルカワイもスタインウェイもタッチで音色が変わるのですが、ファツィオリはその幅が広いんじゃないかな♥

高音部は決してカンに触るカチン!という音は鳴らず、どこかにまろやかさが残る感じです

二楽章で奏でられる音楽を聴いてみると、その表情の豊かさに驚かされます

ぶっちゃけ、スタインウェイで聞くショパンピアノ後奏曲は王道って感じですけどファツィオリで聞くのもとても新鮮。

三楽章も聴いてみました。倍音がしっかり聞こえてくるのに柔らかさも残してて、木のぬくもりと金属フレームの響きが見事に調和した、決してモノマネではないファツィオリの音が堪能出来ました

シゲルカワイ (Kawai Shigeru EX)

ショパンピアノ協奏曲第一番を弾くJJジュン・リ・ブイ (J J JUN LI BUI)さんの演奏を聞きました

第一印象は、カラッと乾いた音。これは戦前のベヒシュタインの得意としていた立ち上がりの鋭い美しい音を感じさせてくれます

このピアノの音も、ある意味では王道な気がします

ファツィオリよりもスタインウェイよりも音の立ち上がりが鋭いのです。そして、音は決して甘さを全面的に出したものではなく、どちらかと言うと、パリパリのお煎餅(???)というか、サクサクの歯切れのよい感じ。

あー、コレは。

ある意味、これぞピアノの音だ!

ピアノの音がオケの中からぐっと湧き上がってくる感じです。シゲルカワイを採用する人が3人現れたのも、納得です!

決してオケと調和して一体感を発揮する方向では無く、ソリストがオケと音楽を競い合うことに照準を合わせているような音作りが感じられます

これはきっと、楽器の弦の張力が高いから、というのと、音の分離が非常に良いという楽器の個性がなし得る見事な至高の領域だと思います

ファツィオリが見目麗しいお姫様だとすると、シゲルカワイは、じゃじゃ馬娘(???)。

とても扱いが大変なのですが、上手く扱えたときの個性がの光り方が半端ない感じです

二楽章では、とても良く耳に届く、そして、バレリーナを見ているような隅々まで整った輪郭の音が聞けました

三楽章は実にリズミカル。音の立ち上がりが良いので、ぐんぐんとオケを引っ張ることが出来ています。コレほどまでに圧倒的な存在感を出せるピアノはシゲルカワイの他になかなか無いな〜♥

スタインウェイ479(Steinway & Sons 479)

ショパンピアノ協奏曲第一番を弾く反田恭平さんの演奏を聞きました

うーん、コレは。

もはや王様!?

スタインウェイの場合、ピアノの音の独立は弱いのですが、それがとても心地よい、と言いましょうか、なんと言いますか、そう、ピアノが1つの楽器として響いている感じです

フルートやファゴットなどの木管楽器のようにピアノが1つの楽器として響いている感じがするのです

そして、この見事なオケとの調和感、一体感などう表現すればよいのでしょう

交響曲の中の1つの、そしてとても大きなパートを演奏している。そんな印象を受けました

弦の張力はファツィオリと同じぐらいかな。かなり低めで設計されているのでしょう。ゆったりした音が長く響いてる。オケの中からホワって浮かんでぅる感じですね〜

そして、反田さんの弾く左手の和音が物凄く良く調和するキレイな響きなのです

コレだ、これ。スタインウェイらしさ全開のビューティフルな音です♥

二楽章は、コレまたとてもオケと一体になっています。反田さんのオケとの合わせが絶妙。とにかくアインザッツ(縦のライン)が指揮と一体になってて、ある意味反田さんはもうひとりのコンマス状態!

スタインウェイのピアノとか云々じゃなく、この演奏自体が素晴らしすぎる。

三楽章まで通して聴いた感想としましては、ピアノの違いを楽しむというより、音楽の世界を堪能できる、そんな演奏でした。コンサート会場で聞くピアノはスタインウェイの場合が多いかと思いますが、そういう点で、ピアノの音色が耳につき過ぎない、というのは反田さんの演奏の場合、最大のメリットなのかも!?

結び:なんでコンクールのピアノが何種類もあるの?

コンクールは腕前を競うものだと思うのです。それじゃあ、みんな同じピアノで、条件揃えれば良いんじゃないか、って思ったりもするのです

でも、ファイナルはコンツェルト1番か2番しか無いわけで、奏者によって異なる弾き方するとは言え、聴いている側としては、

それだと、ちょっと退屈???

という訳で、いろんなピアノが使われるっていうのもとてもコンクールの彩りを添えることになって、効果が大きいのだろうなぁ。

ショパンピアノ教書曲1番も2番も、ホールで聴いてみたくなりました!

ファイナルの結果を受けて新しい記事を書きました。宜しければ。

ブルース・リウさんの記事を追加したので、よろしければ。

ではでは〜

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